【5分で分かる!】『厩火事』のあらすじから聴きどころまで。試しに聴けるサービスも紹介。

厩火事

日本の伝統芸能「落語」を嗜むうえで知っておきたい名作・定番演目を紹介!

今回は、複雑な女心がいじらしい、定番演目『厩火事』(うまやかじ)について、あらすじや登場人物、楽しむための豆知識をわかりやすく解説します。

記事の最後には、試しに聴いてみることのできるサービスも紹介していますので、ぜひご覧ください。

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大人の嗜みの入口として、「わかった気になる」を応援する情報を発信しています。

日本の伝統芸能「落語」。そこには磨き抜かれた知性と、今も昔も変わらない人間の機微が満ち溢れています。

落語を楽しむことは、江戸の文化や価値観を知ること、人間の滑稽さや強かさ(したたかさ)を再確認すること、人を惹きつける物語や話し方とは何だろうと考えてみること、です。

そんな大人の嗜みとしての「はじめての落語」を応援するため、落語に関する基本的な知識やおすすめの名作落語を、初心者の方にもわかりやすく紹介します。

すぐに『厩火事』を聴きたい方はすぐに聴けるYouTubeや音楽配信サービスをどうぞ

『厩火事』(うまやかじ)とは?

厩火事とは

厩火事(うまやかじ)』は、とある髪結いの女性を主人公とした夫婦ものの演目です。

亭主への不満をぶちまけながらも、なんだかんだ惚れた弱みを見せてしまう女性の心情がいじらしい、昔も今も変わらない夫婦仲を描いた噺です。

舞台、登場人物、あらすじ

厩火事の概要

≪舞台≫

・仲人の家

・夫婦の自宅

≪主な登場人物≫

・髪結いのお崎

・髪結いの亭主

・仲人の旦那

≪あらすじ≫

髪結いを生業としているお崎という女性が、仲人をしてくれた旦那の家を訪ね、亭主への不満をぶちまける。

昼間から働かずに酒を飲んでいる亭主に不満はある一方、本気で愛想が尽きたわけではなく、亭主が本当に自分のことを想ってくれているのかを知りたい、という本音も吐露する。

話を聞いた仲人の旦那は、中国の儒家である孔子や、とある殿様の話を引き合いに出し、亭主が信頼に足る男であるかどうかを確かめる方法を提案する。

亭主が大事にしている瀬戸物を目の前で割ったとき、瀬戸物の心配をするかお崎の心配をするか、それで見極めたらよいと、お崎に助言する。

お崎は家に帰ると、夫の目の前で瀬戸物を落として割る。亭主は、真っ先にお崎に怪我がないかを心配したが・・・。

≪オチ≫

お崎 「あんた、そんなに私のことが大事なのかい?」

亭主 「当り前じゃねぇか。お前が怪我でもしたら、明日から遊んで酒が飲めねぇ。


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『厩火事』の聴きどころ

厩火事は、江戸落語の演目で、遅くとも文化年間(18041818)には高座にかけられていたと言われる古い噺です。

演目名の「厩火事」は、噺の中に登場する中国の儒家 孔子の逸話に由来します。

髪結いのお崎のむずむずとした女心を表現する醍醐味があり、好んで演じる落語家も多い演目です。

厩火事の聴きどころ

前半は、お崎が仲人の旦那のもとを訪れて、亭主の愚痴を話すくだり。

はじめのうちは亭主への不満が止まらないお崎ですが、それならばと仲人の旦那が一緒になって亭主の悪口を言い始めると、「そこまで悪い人じゃないわよ!」と亭主を擁護し始める。

愚痴のつもりで話し始めたかと思えば、いつの間にか惚気(のろけ)のような内容になっていく。

姉さん女房であるお崎の惚れた弱みみたいなものが垣間見える、とても微笑ましく聴きごたえのある場面です。

後半は、仲人の旦那から教わった方法で、亭主の気持ちを試す場面。

亭主が大切にしている瀬戸物を目の前で割って見せ、自分と瀬戸物のどっちを心配してくれるか・・・

最終的には落語らしい逆転オチで終わりますが、亭主のセリフを本心と見るか照れ隠しと解釈するかでも、噺の聴こえ方が変わってきます。

いずれにせよ、なんだかんだこんな感じで今後も一緒に暮らしていくのだろうなぁ、と思ってしまう平和な噺だと思います。

楽しむための豆知識

厩火事の豆知識

『厩火事』をより楽しむため、噺の中に出てくる言葉をいくつか解説します。

  • 髪結い (かみゆい)
    江戸中期に登場した、当時としては珍しい女性の専門職
    江戸時代の女性は、普段は自分で髪を結いますが、ハレの日には特別にプロに頼んで、技巧的な形へ髪を整えていました。
    髪結いは、お客さんの家へ出向いて注文に応じたヘアスタイルに結い上げる商売で、料金は1回100文~200文であったとされます。
    当時の男性向けの髪結い処の料金が32文程度であったことを踏まえると、非常に贅沢なおしゃれといえ、腕の良い髪結いは比較的裕福な暮らしができたものと思われます。
  • 髪結いの亭主 (かみゆいのていしゅ)
    女性の稼ぎで養われている男性を指す慣用句で、現代で言うところの「ヒモ」にあたります。
    先述のとおり、髪結いの女性は非常に稼ぎが良く、その亭主は働かずに家にいるというパターンが多かったために使われるようになった言葉です。
    もちろん、亭主によって家でゴロゴロしている人もいれば、家事などをこなして家をしっかりと整える人もいました。
    しかし、現代よりも「男性が稼いで女性を養う」という考えが強かった時代ですので、悪口のニュアンスが強い言葉であったと思われます。

すぐに聴けるYouTubeや音楽配信サービス

八代目桂文楽三代目古今亭志ん朝五代目三遊亭圓楽が得意とした『厩火事』。

今すぐ『厩火事』を聴いてみたい!という方のために、YouTubeで聴けるもの、音楽配信サービスで聴けるものを紹介します。

特にAmazon Music Unlimitedので聴ける桂歌丸さんの一席は絶品ですので、ぜひチェックしてみてください。

YouTube 五代目柳家小せんの一席

2010年より真打ちとして活躍されている柳家小せんさんのYouTubeチャンネル「柳家小せん ゆるりと落語」より。

小せんさんの勉強会の記録音源などが配信されており、様々な定番演目を聴くことができます。

さらにチャンネルでは小せんさんによる弾き語りも楽しむことができます。(もしかしたら、落語より弾き語りの方が多い・・・?)

Amazon Music Unlimited 桂歌丸の一席

出典:Amazon.co.jp

Amazon Music Unlimitedでは、桂歌丸 名席集の中で『厩火事』を聴くことができます。

個人的に、歌丸さんが演じる女性がとても好きなのでおすすめしたい一席です。

また、この一席はかなりたっぷりと枕の時間をとっていることもあり、寄席や落語会での真打ちの一席の雰囲気を味わえるという点でもとてもおすすめです。

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おわりに

今回は定番演目厩火事について解説しました。

わかった気になっていただけましたでしょうか?

本記事で興味を持っていただけた方は、ぜひ奥深い「落語の世界」に足を踏み入れてみてください。

以下の記事では、落語を月額定額で楽しめる音楽配信サービスについて、内容料金を比較して紹介しています。

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