ウイスキーは非常にバリエーションに富んでいて、それぞれの銘柄が多彩な風味と香りを持っています。それを料理と組み合わせることで、美味しいペアリングを楽しむことができます。
この記事では、ウイスキーの種類と味わいに基づいて、どの料理との組み合わせが最適なのかについて探求します。
もともとウイスキーを嗜む方はもちろん、これからウイスキーを色々試していきたい!という方もいっしょに、ウイスキーと食事のマッチングを発見していきましょう。
ペアリングとは?
フードペアリングは、食べ物と飲み物(通常はワインやビール、ウイスキーなどのアルコール飲料)を調和させて食事を楽しむことです。
このプロセスでは、食事と飲み物の相性を考慮して、最適な組み合わせを見つけることが目的です。
相性の良い組み合わせは、料理と飲み物の両方を新たな次元に引き上げ、食事体験をよりいっそう豊かにしてくれます。
フードペアリング
以下にフードペアリングのポイントを説明します。少し理論的な内容ですので、「早くウイスキーと合う料理の組み合わせが知りたい!」という方は次の「スコッチウイスキー」へどうぞ!
ウイスキーにおけるペアリング
ウイスキーペアリングの最大の特徴は、多様な飲み方が用意されていることから、ペアリングの制限が少ないことです。
ワインやビールについても、もちろんカクテルにすることで組み合わせの幅は広がりますが、ウイスキーはより簡単にテイストを変えることが可能です。
例えば、ストレートでは合わない料理でも、水割りにしたりハイボールにすると口当たりが軽やかになることで合うようになるなど、飲み方の選択によりペアリングの幅が広がるでしょう。
度数が高く、使いどころが難しそうなウイスキーですが、このように飲み方を変えることで合わせられる料理は非常に多いでしょう。
次の項目からは、ウイスキーの地域による分類ごとにペアリングのアイディアを紹介していきます。
スコッチウイスキー
スコッチウイスキー(スコットランドでつくられるウイスキー)は、生産地区ごとに多彩な個性が見られますが、大きな特徴としては豊かなスモーキーさで知られています。
ウイスキー特有のスモーキーさは、原料のモルト(大麦)を燃料で乾燥させる過程で付与されます。このときに使う燃料のひとつが「ピート」と呼ばれる可燃性の泥炭です。乾燥させるときのピートの割合や使うタイミングによって、フレーバーが左右されます。
スコットランドはウイスキー造りに向いている冷涼な気候と、このピートを豊富に切り出せる湿地帯を有していることから、ウイスキーの一大産地となっているのです。
ちょっとだけペアリングの話からそれましたが、スコッチはウイスキー生産地としてのこうした特徴から、スモーキーな香りで知られる銘柄が多くあります。(前述のピートの使い方等により、スモーキーさがあまりない銘柄もあります)
このスコッチウイスキーを肴にするなら、グリル料理や燻製料理が最適です。例えば、独特なピートの香りが感じられるアイラモルト(アイラ島で造られるシングルモルトウイスキー)は、ステーキやローストチキンとの相性が抜群です。
アイラモルトの女王と呼ばれる「ボウモア」や、アイラモルトの王者「ラフロイグ」は代表的なアイラモルトとして知られています。
こちらではボウモアについて解説しています。
一方、スペイサイドやハイランドのスコッチは、白身魚やシーフードと組み合わせることで、その複雑な風味が引き立ちます。
スペイサイド地方でつくられるウイスキーは傑作が数多くありますが、「ザ・グレンリベット」や「グレンフィディック」は飲みやすくおすすめです。
ザ・グレンリベットやグレンフィディックについて解説しています。よろしければどうぞ。
バーボン
バーボン(アメリカで生産される、トウモロコシが主原料のウイスキー)は風味の力強さと甘さが特徴で、その特性を活かすためにデザートとの組み合わせが最適です。例えば、チョコレートとの組み合わせは、甘さとバニラの香りが素晴らしいハーモニーを奏でます。また、バーボンの甘さがスモーキーなBBQ料理とも素晴らしく調和します。
ちなみに、バーボン特有の力強さとフレーバーは、主原料のトウモロコシや内側を焦がしたオークの新樽の使用等がもたらしています。
世界一売れているバーボンの「ジムビーム」は、手を出しやすい価格とスムースな口当たりで非常に試しやすい一本です。
甘さ控えめのプレミアムバーボン「ワイルドターキ―8年」や、テネシーウイスキーに分類されますが世界一売れているウイスキー「ジャックダニエル」もおすすめです。
ジャックダニエルについて解説した記事はこちらです。
バーボンについて説明している記事はこちらです。
アイリッシュ
アイリッシュウイスキー(アイルランドでつくられるウイスキー)は軽やかな風味を持っており、シーフードや軽食との組み合わせが最適です。
アイリッシュウイスキーとシーフードの組み合わせは、そのまろやかさと新鮮な海の風味が絶妙な調和を生み出します。アイリッシュウイスキーカクテルと共に軽食を楽しむのもおすすめです。
スコッチはスモーキーさが特徴ですが、一方でアイリッシュはすっきりとした味わいとフルーツやキャラメルのような華やかな香りが際立ちます。
このあたりの違いは、前項のスコッチで少し述べた「ピート」を使って燻さず、未発芽の大麦を原料として使用することに由来しています。このため、大麦等原料の持つ本来の香りや味わいがダイレクトに伝わってくるのが、アイリッシュの特性です。
一度は低迷したものの、現在ではクラフト蒸留所が続々誕生し盛り上がっているアイリッシュウイスキー。スコッチとならびウイスキーの祖先とされており、まさに「伝統と革新」が共存するアイリッシュには数多くの素晴らしい銘柄がありますが、代表的なのは「ジェムソン」、「カネマラ」そして「ブッシュミルズ」です。
ちなみに、以下の記事ではブッシュミルズとジェムソンを紹介しています。
ジャパニーズウイスキー
最後に、ジャパニーズウイスキーのフードペアリングを提案します。
ジャパニーズウイスキーのなかでもシングルモルト(単一蒸留所でつくられた複数の樽のウイスキーを瓶詰めした製品)には「山崎」や「宮城峡」といった銘柄がありますが、これらにはクリーミーなチーズやシーフードとのペアリングがおすすめです。
ジャパニーズシングルモルトの穏やかな甘さとフルーティな香りは、チーズと絶妙にマッチします。たとえば、モルトの甘さとブルーチーズの塩気は良いコントラストとなり、またフルーティな香りはゴーダチーズやカマンベールチーズとの組み合わせで際立ちます。
シーフードとのペアリングでは、そのフレッシュで果実のような香りが、魚介類の軽快な風味と絶妙に調和し、素晴らしい食事体験を提供します。特に、サーモン、帆立貝、または刺身との組み合わせはおすすめです。
日本のブレンデッドウイスキーは、そのスムーズな飲み口と柔らかなフレーバーで、寿司との組み合わせにぴったりです。寿司の新鮮さとブレンデッドウイスキーの穏やかさが、互いを引き立て合います。たとえば、マグロやハマチの寿司には、バニラや蜜のような甘さがあるウイスキーが合うことがあります。
ジャパニーズブレンデッドウイスキーでは、特に「響」、「竹鶴」そして「碧」といった銘柄が人気があります。
以下の記事では、人気のあるジャパニーズウイスキーをまとめて紹介しています。
こちらの記事では、ウイスキーの製造プロセスに着目し、シングルモルト等の用語について解説をしています。
おわりに
今回は、ウイスキーと料理のペアリングの魅力を紹介しました。
わかった気になっていただけましたでしょうか?
この記事で提案したアイディアが、あなたのウイスキーペアリングや楽しいウイスキーライフの手助けになれば嬉しいです。