今回は、世界的な人気を誇るシングルモルトスコッチ「グレンフィディック」を紹介します。
1960年代に世界で初めてシングルモルトとしてウイスキーを発売した先駆者であり、熟練の職人の技によりその味を守り続ける歴史あるブランドでもあります。
そんな「革新」と「伝統」が共存する「グレンフィディック」は魅力的なストーリーに溢れた銘柄です。
すぐにグレンフィディックの商品情報を知りたい方は「グレンフィディックの種類と価格」をどうぞ
「グレンフィディック」とは?
「グレンフィディック」は、スコットランド スペイサイド地方で造られているシングルモルトスコッチウイスキーです。
グレンフィディックはゲール語で「鹿の谷」を意味する言葉で、その名の通り、ボトルには雄々しい鹿の姿が描かれています。
世界で最も飲まれているシングルモルトのひとつであり、ライトでスムースな飲み口、洋ナシのようなフレッシュな香りが特徴の、ウイスキー初心者の方にもおすすめの銘柄です。
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創業者と9人の子どもたち
1886年の夏、創業者ウイリアム・グラントは、スコットランド北部に位置するスペイ川流域にグレンフィディック蒸留所を造りました。
蒸留所の建設は彼と彼の9人の子どもたち、一人の石工職人が、ひとつひとつ石を積み上げていくという手作業で進められました。翌1887年のクリスマスの朝、蒸留器から最初のスピリッツが流れ、ウイスキーの製造が開始されました。
グレンフィディックの製造には「ロビーデューの泉」と呼ばれる湧水を使用しており、これは創業時から今も変わりません。
将来に渡ってグレンフィディックの味わいを守っていくためにこの水源が不可欠であると考えたウイリアム・グラントは、多額を投じて周辺の土地全てを買い取り、蒸留所の敷地内にロビーデューの泉を確保しました。
グレンフィディックの味わいは創業者の情熱によって生まれ、その精神は今日まで受け継がれています。
常駐の銅器職人とクーパレッジ
グレンフィディック蒸留所のポットスチル(蒸留器)は、他の蒸留所に比べ小型で、その形も様々です。これは資金が潤沢ではない創業時に中古品のポットスチルを買い集めたことに由来し、経年劣化したポットスチルを新調する際も、あえて当時と同じ大きさと形に造り上げています。
銅製のポットスチルがウイスキーの品質に大きな影響を与えると考えていたグレンフィディック蒸留所は、1950年代から一貫して、蒸留所に専門の銅器職人を常駐させています。
銅は柔らかく変形しやすいため、常に現場にスタンバイしてポットスチルのメンテナンスを行うとともに、何代にもわたってその知識と経験を積み上げていくことで、ウイスキーの味わいを守り続けています。
グレンフィディック蒸留所は、所内にクーパレッジ(熟成樽の製造や修理を行う工場)をもつ数少ない蒸留所のひとつでもあります。1959年に設置されたクーパレッジでは、60年間培ってきた知識と経験を受け継いだ専門の職人たちが、日々樽の製造・修理・熱処理を担っています。
ウイスキーの仕上がりを大きく左右する熟成樽の管理を自所内で行っている点にも、最高のウイスキーを造るという強いこだわりが表れています。
印象的な三角形のボトル
グレンフィディックの特徴として挙げられるのが、その印象的な三角形のボトルです。
これは20世紀に活躍したハンス・スフレーヘルというデザイナーが考案したもので、ウイスキー造りに不可欠な「水」「麦芽」「風土」という3つの要素の調和を表現したデザインであるといわれています。
実際に持つと非常に手に馴染む形状で、他のボトルとは違うスタイリッシュさを感じることができます。
シングルモルトのパイオニア
グレンフィディックを語るうえで欠かせないのが、シングルモルトを世界へ発信したパイオニアであるという点です。
1963年、グレンフィディックは世界で初めて「シングルモルト」を商品として国際的な市場へ売り込みました。
それまでのシングルモルトはブレンデッドウイスキーの原酒として使われるためのもので、それ自体を味わうという発想はありませんでした。
この挑戦により、ブレンデッドウイスキーに慣れ親しんでいた世界中の消費者がシングルモルトの個性的な味わいの素晴らしさに気付くことになり、今日まで続くシングルモルト人気の先駆けとなりました。
グレンフィデックは現在においても、世界で最も飲まれているシングルモルトのひとつです。
グレンフィディックの種類と価格
グレンフィディックのレギュラーラインは以下の4つです。
今回は特におすすめの2銘柄について紹介します。
甘くフルーティな香りで大変飲みやすいボトルですので、シングルモルト初心者の方も安心してトライいただけると思います。
まずはこれから
グレンフィディック12年 スペシャルリザーブ
≪特徴≫
グレンフィディックのスタンダードボトル。1887年の創業から受け継がれる伝統の香りと味わい。
特徴的な洋ナシのようなフルーティーさに加え、アメリカンオーク樽とヨーロピアンシェリー樽で最低12年熟成することによる、複雑な樽の香りも併せ持っています。
国際的なコンペティションでの評価も高く、スペイサイドモルトの“完成品”ともいわれる銘柄です。
≪味わい≫
甘くフルーティー・クリーム。フィニッシュはやわらかな甘み・繊細で軽やか
≪飲み方とおつまみ≫
ノージンググラスに注いで、ストレートでじっくり香りを楽しむのがおすすめ。
おつまみはピスタチオやピーナッツなど、油分のあるナッツ系がよく合います。
ライトに楽しみたい時には、ハイボールにしても◎
一度は試してみたい
グレンフィディック15年 ソレラリザーブ
≪特徴≫
バーボン樽、ホワイトオーク新樽、シェリー樽の3種の樽で最低15年熟成したモルトウイスキーを ソレラバットと呼ばれる大桶で約6ヶ月間後熟。
12年よりも熟成感のある濃厚な甘みとフルーツ、適度なスパイシーさが魅力です。
15年熟成のシングルモルトとしてはリーズナブルな価格で入手できることもあり、愛好家の間でもコスパの良いシングルモルトとして知られています。
≪味わい≫
広がりのある滑らかさ・バニラ・シナモン・ほのかにスパイシー
≪飲み方とおつまみ≫
加水することでフルーツの爽やかさが際立つ銘柄ですので、オン・ザ・ロックスで氷の溶け具合と共に香りの変化を楽しむのがおすすめ。
個人的には甘すぎないドライフルーツと合わせるのが好みです。
おわりに
今回は“「革新」と「伝統」のシングルモルト” 「グレンフィディック」を紹介しました。
わかった気になっていただけましたでしょうか?
実際に嗜んでみてわかることもたくさんありますので、興味を持っていただいた方はぜひお試しください。
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